Novel




ハプニング at the midnight 2





 そこで聞こえたのは、がちゃりとドアを開ける音。立っていたのは兄貴。
 何してたかなんて、バレバレだ。俺は慌てて両手で前を隠して、目を逸らす。
「いや、あの…これは……。」
男同士だし、ダチとなら早ヌキ対決とかバカな事もしたし、大して気にする事でも無いけど、言い訳するみたいな台詞が思わず口をついて出た。オカズにしてたのが兄貴だなんて、分かるはずないのに後ろめたい気持ちがあったからかも知れない。
 兄貴もそのまま出てってくれればいいのに、一向にその気配が無い。
 あろう事か、近付いてきて俺の足元に跪く。
「こんなにして…俺の事オカズにしてオナニーしてた?」
直接的な言葉を囁かれて、思わず息を飲む。ごくりと喉を鳴らしてしまう。兄貴、すっげえやらしい顔してるんだけど。というか、何でバレてんだ。
 固まってしまった俺をよそに兄貴は俺の両手に手を重ねてきて、いやらしく撫で上げる。
「悠斗の、見せて…しゃぶらせてよ。」
「ちょっ、兄貴っ……。」
頭は焦っているけど、身体は言う事を利かない。 見上げてくるのは媚びるような目。それに逆らえるはずもなくされるがままに手をどけられて、直に握られる。その手つきもやらしい。

「…すっごい大きい…。」
そんな事を呟いて、幹に何度もキスするように唇を押し付けてから、先端を銜える。ディープキスでもするようにねっとりと舌を絡められて、根元の方も手で扱かれて、先走りがどんどん溢れてくる。
 それを吸い取るように唇をすぼめて、吐息を漏らしながら俺のモノを頬張る姿はたまらなくエロい。
「キモチ、いい?んっ、ふ……っ。」
一旦快楽に支配されてしまえば、もう出したいとかイきたいとか、そんな事しか頭に浮かばない。
「すっげ、イイ……兄貴は?俺の、美味そうにしゃぶってんじゃん。」
あの真面目な兄貴がこんな風に男のモンを銜えてるのもいけない。この状況に完璧に飲まれた俺の口から出てくるのは、更に自分も兄貴も煽るような言葉で。
「…っ、出ちまうっっ……くっ。」
そう漏らすと、兄貴は俺のモノをより深く銜え込んで、口の中全体で絞るように吸い付いてきて堪えられなくなる。
「んむっ、ン……………ふ、ぁ…。」
兄貴は口で全部受け止めたあと、俺の放ったモノを自分の手の平に吐き出した。唇の端から白濁した精液が伝い落ちていく。
「まだ、イけるよね…。」
そう言うと、空いた手で半パンと下着を一緒にずり下ろして下半身を露出させる。俺の方に身体を乗り出して、向かい合わせで座るような体勢になると、精液まみれの右手を後ろへともっていく。
「んぁ、あ……うっ…。」
俺の膝を跨いで自分のケツを弄ってるらしい。少し見上げるような状態で見る兄貴の顔。こんな顔であの時もバイブ突っ込んでたのかよ。
 目を瞑って仰のいていた兄貴がふと俺の顔を見下ろした。俺と目を合わせると濡れている口元を舌でちらりと嘗めて、笑った。
 俺、ハマりそう……。
 今度は俺の膝を降りて、俺のベッドにうつ伏せになってケツを高く持ち上げる。あの時と同じ格好。
「ねえ……ココに入れて、悠斗の。」
俺に見せ付けるようにソコを指で広げながら強請ってくる。ソコは赤く潤んでひくついてて、まるで誘ってるみたいだ。
 一回出したのに、見せ付けられた媚態でまた勃ってしまった今の俺に我慢なんて出来る訳が無い。誘惑されるがまま、乱暴に細い腰を掴んで一気に突き立てた。
「う、ぁっ…あん……あっ、はぁ……んんっ……。」
激しく出し入れしてやると、その度に兄貴の口からあられもない声が漏れる。俺の方はといえば…気持ち良くて、止められない。
「…っ、なあ……俺の、イイ、かっ……ぅ、っ…。」
「イイ、すごくイイよっ…ぁあ、ン…ゆう、との……おっき……は、んんっ……。」
揺さぶられながら兄貴は気持ち良さそうに喘ぎながら答えてくる。
「やば、俺…イきそ……はっ…く……。」
女とヤった時より、はっきり言って、イイ。ナカは熱くてキツくて、溶かされちまいそうだ。
「…ナカで、出してっ…俺もイくっ、から………ふ、ぁあ…ああんっっ……。」
「く、ああっ…出るっっ……うっ…。」
イったせいで、身体を痙攣させた兄貴のソコは俺のモノをめちゃくちゃ締め付けてきた。奥まで突っ込んだまま、搾り取られるようにイってしまった。


 ゆっくりと引き抜くと、兄貴の身体はぐったりとベッドに沈んだ。俺もその横に身体を投げ出す。身体の熱が治まってくると、頭も冷えてくる。
(……ってか、俺、何兄貴とヤっちゃってんだよ。)
どうしよう、ヤバくねえか、これ。冷静になってみて、とんでもない事をしでかしたと思い当たる。
「ふふっ。」
隣から聞こえたのは、笑い声。
「あのさ、俺知ってたんだよね。あの時、お前が俺の部屋、覗いてんの。」
急に切り出された台詞にドキリとする。思わず横に寝そべっている兄貴の方に顔を向ける。真正面に見える顔は楽しそうというか、嬉しそうというか、そんな表現がぴったりくるような満面の笑み。
「見られてんの気付いたら、俺止められなくて。一人でシテるのに、悠斗にヤられてるみたいな気分になって。」
おいおい、満面の笑みを浮かべていうような言葉じゃねえだろ。俺のこめかみからさっきとは違った意味で汗が滲んでくる。
「で、カマ掛けてみたんだ。悠斗もその気になっちゃったんじゃないかな、って思ってさ。」
で、何ですか、俺はまんまと乗せられたって訳ですか。いや、だって、男が下半身の欲求に勝てるはずが無い。そうだろ、おい。
 むなしくも一人で頭の中で会話してしまう。
「その通りだったみたいだ。ね、良かったでしょ、俺。」
そう言いながら、兄貴は俺の頬に手を添える。じっと見つめてくるまだ潤んでいる目に耐えられなくて、視線が泳いでしまう。こんな顔されると、またあらぬ所が元気になってしまいそうだ…。
 優等生だとばっかり思っていたのは、とんだ間違いだ。目の前にいるこれはきっと悪魔だ。誘惑して、精も魂も貪るように男を喰う悪魔なんだ。

「責任、取ってもらうからね。」
「な、何だよ、それ…。」
もう一度兄貴は笑った。
「俺のバックバージンあげたんだから、責任を持って俺を好きになる事。」
「バージンって…兄貴、初めてかよっ!あんな事シてたのに…。」
「そ。だって、俺の一人Hのネタ、ずっと悠斗だったから。」
「な、なにーっ!!」
衝撃的な事実を告げて、目の前の悪魔は俺にキスをした。



 俺はすっかりこの悪魔の罠に、心も身体もハマってしまったみたいだ……。




 ナニをするにも結局ウワテな兄に敵わない弟君。バカだからこそ可愛い。そんな攻めを目指してみました。
 書きたかった兄弟モノを書けて、満足。きっと今後も弟君はひたすら魔性の兄に翻弄され続ける事でしょう。
 (back ground:『NEO HIMEISM』様)


気に入って下さったら、是非ポチっとお願いします。





Novel TOPに戻る