白椿の君の秘め事 3





 腕を掴まれ、強引に指を引き抜かれる。急に奪われた内を犯すものを求めて、焦れた身体が悲鳴を上げる。どうして良いのかわからなくて、絶対的な支配者の瞳で俺を見つめている人の名前を呼んだ。
「ぅあっ……みかさまっ…美果さまぁ、はぁ……んぅっ…。」
とにかくこの疼きをどうにかして欲しくて、美果様に…。

「…どうして欲しいか、この可愛いお口で言ってごらん?」
後ろからふいに抱き締められて、美果様の指が俺の唇をなぞる。何をどう言えばいいのか分からない俺は、緩慢な動きで頭を振る。
「ぅ…ふっ……んぅ……。」
唇をなぞっていた指が俺の口腔を犯し出す。頬の裏をなぞられ、上顎の内側を擦られ、その指を追い掛けるようにして舌を動かしていた。閉じる事の出来なくなった口の端からは飲み込みきれない唾液が溢れて、顎を伝い落ちていく。
「『蒼太のいやらしい尻を犯して欲しいです。』ほら、言って……。」
耳元で卑猥な言葉を囁かれて、今度は擽るように尖らせた舌先が耳の中を犯していく。とっくに正気で無くなっていた俺は言われたままに口にする。
「…ぁふっ…お、俺の…いやら、しいお尻を…あぁ、ん…おかしてほしっ…んです…っ………。」

 美果様はくすくすと笑いながら、俺の項へ舌を這わせる。もう、どこに触れられてもそれは疼きを激しくする愛撫でしかない。
「『奥まで挿れて、突いて欲しいです。』」
「ひっ…くぁ……あ…おくまで、いれ…ぅ、ついてほしっ……あぁんっ…みかさ、ま…もぉ、おねがいしますぅっっ…。」
俺は啼き叫ぶように懇願した。涙と唾液でぐしゃぐしゃだろう顔を美果様に向けて。ぞっとする程の艶笑を投げ掛けられたかと思うと、虚ろを訴えていた秘所を一気に熱く、硬いもので穿たれた。


「……い、ぁ…あああっっんっ……。」
狭い内を押し広げられる感覚に、俺はそのまま絶頂に達していた。
「ふっ…もう気を遣ってしまったの?……そんなに欲しかったのですか?」
浴衣の袷から胸に手を這わされ、尖りきっていた乳首を抓まれる。それだけで、散々焦らされた身体はすぐにまた火照りだす。穿たれている秘所が美果様の肉をもっと奥へと誘うように蠢いているのが分かる。
「もっと淫らに私を求めなさい…そうしたら、もっと気持ち良くしてあげますよ。」
柔らかく髪を梳かれて、甘い誘惑の言葉を耳に流し込まれる。
「…みかさまっ…も、もっとぉ…ほしっ…めちゃくちゃに、はぁん…してくださ、いっ……。」
律動を求めて、自ら尻を振る。自分がどれだけ恥ずかしい事をしているのかなんて、もうどうでも良くて…。
「…とっても可愛いですよ、蒼太……。」
「ひぃっっ、あっ……美果さまぁ、ああんっ……ぁう…。」
揺さぶられるままに抑えられない喘ぎが口を付く。
 俺の頭の中は美果様が与えてくれる悦楽だけで真っ赤に染まっていった。





 あれから2日間程、まともに座る事も出来なくて、仕事にも支障を来たしてしまった。それでも美果様は何故か嬉しそうに俺の世話をしていた。とても口に出すのも憚れるような性癖を暴かれてしまって、俺は恥ずかしくて堪らなかったというのに…。
 どうにか動けるようになって、俺は直ぐに計画を実行する為に手配をした。これ以上美果様に秘密を作っていたら、きっと俺はどうにかなってしまうと思って。幸いな事に素晴らしい牡丹の株を手に入れられて、俺は早速美果様の目を盗んで、庭の片隅へとほころび掛けている白い牡丹を植えた。あと2,3日すればきっと大輪の花を咲かせるだろう。日当たりの良い場所に植えた牡丹は孤高の王の美しさを誇示しているようで、美果様にぴったりだと我ながら思った程だ。
 「あ、あの美果様…この後少しお時間大丈夫ですか?」
いつものお茶の時間に恐る恐る伺う。美果様は少し不審げな様子で俺を見ていたが、
「ええ、勿論。」
柔和な笑みを浮かべて、答えてくれた。



 「……これは…。」
俺はさっき植えたばかりの牡丹の所へと美果様を案内すると、新しく植えられた花に気付いて、俺に問い掛けてきた。
「牡丹の花です。あの、俺、色々頂いてばかりでどうしてもお返しがしたくて…でも思いついたのは、やっぱり花しかなくて。それで、それで…この花が美果様にぴったりだと思って…。隠していたの、この事だったんです、ごめんなさいっ!」
きちんと言おうと何度も練習していた台詞のはずなのに、詰まってしまう。下を向いたまま早口で捲くし立てて、息を付く。なかなか返らない反応に俺は不安になって、恐々と顔を上げた。
 でも、俺の視界は一面の白に覆われた。急に抱き締められ、俺は美果様のシャツに顔を埋めていたのだ。
「…なんて可愛いらしい事をしてくれるのでしょうね、蒼太は。」
胸から伝わる深い声にも、抱き締められる腕の強さにも酔い痴れてしまう。
「美果様………。」
心地良くて、自分からもおずおずと美果様の背中に腕を回していた。
「今まで貰ったものより、何よりも嬉しいですよ。……それなのに私は、あのような酷い事をしてしまって。」
思わず身動ぎをしてしまった。最後の方の言葉は耳元で低く囁かれたから…。
「…っ……意地悪、言わないでください……。」
真っ赤になってしまった顔を隠す為に美果様の胸に顔を強く埋めて、小さな声で不満を口にしたけれど、きっと美果様には全て気付かれている。俺があの時、紛れも無く悦んでいた事を。今も恥ずかしくてこんな事を言ったのだと。
「……本当に、食べてしまいたい位可愛い…。」
甘くそう囁かれた言葉は俺の身体を溶かしていく。俺はゆっくりと上を向かされて、何とも言えない幸せそうに微笑んでいる美果様から言葉よりも更に甘い口付けを受けた。

「ありがとうございます、蒼太。」




お仕置きプレイでした。でも愛はあるの、というのが私のモットーなのですが、いかがでしたでしょうか?
そしてHシーンが何故か長くなってしまうこのカップル…。どうしたもんでしょう。いいんですけどね、楽しいんで(笑)。 (back ground:『NEO HIMEISM』様)


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